バイオマス発電所の安全対策の今!現場の実態に迫る!

バイオマス発電所の安全対策の今!現場の実態に迫る!

地球環境に負荷をかけない発電方式として注目されているのが、バイオマス発電です。
木材や農業や食品廃棄物などを原料に発電を行う方式で、カーボンニュートラルにも寄与することで知られています。

一方、バイオマス発電を行う発電所では、騒音や排煙、火災が多く、危険な発電方法といった誤解もあるようです。

本記事では、バイオマス発電の安全対策について解説していきます。
現在、バイオマス発電が安全対策に力を入れている実態を確認してみてください。

バイオマス発電所への誤解

バイオマス発電を行うためには、発電所が必要です。
2025年時点、バイオマス発電は国内に600箇所以上点在していると言われており、バイオマス発電の認知度が高まりつつあります。

その一方、バイオマス発電所は危険だといった誤解も広まっているようです。
その理由として、騒音や排煙、火災などが挙げられています。

しかし、その多くは誤解であると指摘されており、バイオマス発電所の多くが安全対策を徹底しているのが実情です。
バイオマス発電における誤解について下記で解説していきましょう。

騒音の問題

バイオマス発電所は、従来の事業用火力発電所とは違い小規模なものが多いと言われています。
小規模な施設になると設備から敷地境界線までの距離が短くなることが想定されるため、騒音問題が発生しやすいと考えられているのです。
燃料の受け入れから搬送、貯蔵設備から騒音が発生した際、それらが周辺地域に漏れやすいといった誤解があるようです。

バイオマス発電所そのものの建設時における騒音、ボイラーや発電装置のタービなど機械が稼働する際の振動音などが懸念材料となっていますが、ではどのバイオマス発電所も対策を講じていないかといえば違います。

詳しくは後述しますが、騒音問題はバイオマス発電所建設時に問題となる課題であり、どの発電所も徹底した騒音対策を講じた上で稼働させているのが現状です。
そもそも、騒音に関してはバイオマス発電に限ったことではなく、対策自体でカバーすることが可能な問題でしょう。

排煙の問題

バイオマス発電は、原料となるバイオマスを燃焼させて得られる熱を利用して電気を生み出す発電方式です。
そのため、その燃料の燃焼に伴って排煙が発生するため、それらが地球環境に負荷を与えているのではないかといった誤解があります。

さらに、中には排煙に有害物質が含まれているのではないかといった不安が近隣住民から出ることもあるなど、バイオマス発電所の存在自体が環境破壊につながるといった誤解も少なくありません。

これも、肺炎の量を少なくする最新設備の導入、また環境設備によって有害物質が除去できることから多くのバイオマス発電所から排出される排煙は少なく、さらにクリーンなものです。

バイオマス発電所から発生する排煙は基本的に無色であり、白色であっても気温が低くなることによる影響であり、どのような状況であっても近隣に滞留するこはなく拡散されています。

排煙があるからといって、バイオマス発電がクリーンな発電方式ではないといった見方は極端ではないでしょうか。

火災の問題

バイオマス発電所では、近年火災事故が頻発しています。
そのため、バイオマス発電所自体が火災の原因であり、存在そのものがリスクであるといった誤解が広まっているようです。

しかし、バイオマス発電における火災の要因の多くは、木質ペレットが発酵する過程で生じたガスに引火、木質ペレットの粉が舞ったことで何らかに引火したといったケースであり、発電所自体に問題があるわけではありません。

そのため、近年では火災リスクを下げるために全国各地のバイオマス発電所では安全対策が徹底され、最新技術を取り入れたモニタリング体制などを整えています。

まだまだ全国各地に広まって間もないバイオマス発電所だけに、さまざまな課題を乗り越え、より安全でクリーンな発電方法として進化している途中だと考えるべきでしょう。

バイオマス発電所の安全対策の実態

全国各地のバイオマス発電所では、徹底した安全対策が講じられています。
現場の実態を理解することが、騒音や排煙、火災に対する誤解を解く鍵となるでしょう。

バイオマス発電所の安全対策における、現場の実態について下記にまとめました。

騒音対策

バイオマス発電所は小規模な施設であるため、施設と近隣が近くなり騒音問題が起こりやすいといった誤解があります。
当然、どんな設備にせよ何も対策を講じずに建設や稼働されれば、騒音問題を避けることはできません。

バイオマス発電所の多くは、発電所でも騒音となり得る部分に吸音・遮音性能のある防音壁などを設置することで騒音規制をクリアしているケースが見られます。

また、道路側に遮音壁を設置する発電所では、騒音に関連するクレームを受けたことがないと言います。
さらに騒音・振動対策低騒音型機器の設置、防音室を設置する発電所もあるなど、全国各地のバイオマス発電所が騒音における対策を徹底していると考えられるでしょう。

排煙対策

バイオマス発電において、燃料を燃焼させることで排煙が発生するのは止むを得ない状況です。
しかし、バイオマス発電所では上記で解説したように排煙は透明であり、クリーンな状況で排出される仕組みになっています。

また、国内初の都市型バイオマス発電所である川崎バイオマス発電では、排煙脱硫装置を設置したことで大きな話題となりました。
排煙脱硫装置は、燃焼時に発生する硫黄酸化物を無害化することが可能であり、さらに排出量を3ppm以下まで削減する設備です。
排煙脱硝装置、排煙脱硫装置、バグフィルターといった3つの環境設備を導入したことにより、同発電所で発生しているのは有害な排煙ではなく、クリーンな水蒸気となっています。

各地のバイオマス発電所においても、排煙脱硝装置、排煙脱硫装置、バグフィルターなどの環境設備が次々に導入されており、より環境問題を意識した対策が講じられているのです。

火災対策

バイオマス発電所では、実際にここ数年に多くの火災事故が発生しています。

例えば、愛知県のバイオマス発電所では木質ペレット搬送中にボイラー建屋内のバンカー付近およびベルトコンベアで爆発・火災が発生し、人的被害は起こらなかったものの大きな話題となりました。

さらに、北海道のバイオマス発電所においても木質ペレット搬送中に燃料受入建屋内の受入ホッパー付近およびバケットエレベーターで爆発・火災事故が発生し、作業員1名が火傷による重症を負っています。

このように、バイオマス発電所における火災事故は、発電所自体ではなく燃料の管理体制や安全対策によるものに起因しており、各地のバイオマス発電所は早急に対策を講じています。

例えば、高性能熱画像カメラを用いた非接触型発熱検知システムの導入です。
発電所でとくに注視すべきポイントにカメラを設置し、専用監視ソフトで統合管理することで異変にすぐさま対応できるモニタリング体制が整えられています。

実際に火災事故が発生した発電所においては、爆発抑制装置等の安全装置の追加設置、バイオマス払出設備に専用の空気搬送設備を設置し、機械的摩擦発熱リスクを排除するといった対応を取りました。

全国各地のバイオマス発電所では、Iotによるモニタリニング体制はもちろん、基本的な安全対策におけるルールづくりも抜本的に整えています。
バイオマス発電所での安全対策が徹底され始めている今、より安全な発電方式としてバイオマス発電が注目されるのではないでしょうか。

まとめ

バイオマス発電所は、徹底した安全体制のもとで稼働しています。
騒音や排煙、火災などが伴う危険な発電所といった誤解もありますが、実際のバイオマス発電所とはかけ離れた事実です。

カーボンニュートラル、持続可能社会の構築において重要な役割を担うと期待されているバイオマス発電。
これから、より安全対策が徹底され、クリーンでエコな発電方式としてますます注目を集めていくことでしょう。